皇室制度の将来を左右する重要な議論が、いま大きな波紋を呼んでいる。
衆参両院の正副議長らによる全体会議で、皇族数確保策として「女性皇族が結婚後も皇族の身分を保持する案」と「旧宮家の男系男子を養子として皇族に迎える案」が了承され、「立法府の総意」として政府に手渡される見通しとなった。
しかし、この取りまとめに対しては、愛子天皇を支持する層だけでなく、伝統的な男系男子維持を重視する層からも反発が相次いでいる。
なぜこれほどまでに議論が炎上しているのだろうか。
「立法府の総意」は本当に総意なのか
今回了承された内容は大きく二つだ。
* 女性皇族が結婚後も皇族の身分を保持する
* 旧宮家の男系男子を養子として皇族に迎える
政府はこれをもとに法制化作業を進める方針とされる。
だが、ネット上では「議論が十分ではない」「国民の意見が反映されていない」との批判が噴出している。
特に問題視されているのが、「立法府の総意」という表現だ。
日本国憲法第1条では、天皇の地位は「主権の存する日本国民の総意に基く」と規定されている。
そのため、
「国民の総意と立法府の総意は同じなのか」
という疑問が各方面から出ている。
実際、過去の世論調査では女性天皇への支持は高い傾向が続いており、今回の取りまとめとの温度差を指摘する声も少なくない。
愛子天皇派も男系男子派も納得していない
今回の特徴は、通常のような賛成派・反対派の対立ではない。
むしろ双方から不満が噴出している。
### 男系男子派の不満
保守派の一部は、女性皇族が結婚後も皇族に残る制度について、
「将来的に女系天皇につながる可能性がある」
として警戒している。
男系継承維持を重視する立場から見れば、制度変更への入口になるとの懸念があるためだ。
愛子天皇派の不満
一方で愛子天皇容認派は、旧宮家養子案に強い違和感を示している。
長年一般国民として生活してきた人物を皇族として迎えることについて、
* 国民の理解が得られるのか
* 皇位継承資格をどう扱うのか
* 配偶者や子どもの身分はどうなるのか
など多くの課題が指摘されている。
結果として、両陣営とも現行案に納得していないという異例の状況になっている。
養子案には未解決の課題が山積
特に議論が集中しているのが旧宮家養子案だ。
仮に養子として皇族になった人物が結婚していた場合、
* 配偶者は皇族になるのか
* 連れ子はどう扱うのか
* 生まれてくる子どもだけに継承権を与えるのか
など制度設計は極めて複雑になる。
さらに取りまとめでは、
「必要があると認めるときは一定年数ごとに見直す」
という文言が盛り込まれた。
しかし、
* 誰が必要性を判断するのか
* 一定年数とは何年なのか
といった点は明確になっていない。
法制化段階で詳細な整理が求められることになる。
女性皇族の結婚後の身分も課題だらけ
女性皇族が結婚後も皇族に残る制度についても課題は少なくない。
現在の報道では、
「女性皇族の意向を尊重する」
とされている。
しかし、
* 配偶者はどういう立場になるのか
* 子どもの身分はどうなるのか
* 居住や公務はどうするのか
といった具体像は見えていない。
制度の全体像が示されないまま法制化だけが先行することへの不安も広がっている。
JNN世論調査でも見えた皇室問題への関心
JNNが実施した世論調査では、皇族数確保策に関する質問も行われた。
その結果、
* 女性皇族が結婚後も皇室に残ることに賛成 73%
* 反対 13%
という結果だった。
また、
* 配偶者や子どもも皇族とすることに賛成 51%
* 反対 34%
となった。
数字の解釈には様々な見方があるが、少なくとも国民の間で女性皇族の身分保持への理解が一定程度広がっていることはうかがえる。
「共産党の主張が最も憲法論に近い」との声も
今回の議論で注目されているのが、日本共産党の主張だ。
共産党は、
* 女性天皇容認
* 女系天皇容認
の立場を取っている。
その根拠として、
「天皇の地位は国民の総意に基づく」
という憲法第1条と、
「男女平等」
という憲法理念との整合性を重視している。
また女性皇族のみ配偶者や子どもに皇族身分を認めない制度についても、
「男女平等の観点から問題がある」
と指摘している。
賛否は別として、憲法論に基づいた整理を試みている点に注目する声も出ている。
今後どうなるのか
政府は今国会での法整備を視野に作業を進めるとみられている。
ただし、
* 養子案の制度設計
* 女性皇族の家族の身分
* 皇位継承との関係
* 国民世論との整合性
など未解決の論点は非常に多い。
今回の取りまとめが本当に「総意」と呼べるのか。
むしろ議論のスタートラインに立ったばかりだと見る向きも強い。
皇室制度は日本の国家の根幹に関わるテーマであるだけに、拙速な結論ではなく、国民が納得できる形での丁寧な議論が求められている。

コメント