ヨーロッパで最後まで女性を君主の継承順位から排除してきたリヒテンシュタインが、ついに大きく動きました。
2026年8月15日、リヒテンシュタイン侯家は、これまでの「男子による継承」から、**性別に関係なく第一子を優先する「絶対長子相続」へ変更する**と発表しました。アロイス侯世子が建国記念日の演説で明らかにしたもので、投票権を持つ侯家メンバーの必要な3分の2以上の賛成を得て決定されたと報じられています。
つまり将来、第一子が女子、第二子が男子だったとしても、女子が弟より上位の継承者になるということです。
これはヨーロッパの君主制にとって歴史的な転換です。そして日本では当然、ある疑問が再び浮上します。
**「それでは、なぜ日本では愛子さまが天皇になれないのか?」**
7月に皇室典範が改正されたばかりの日本では、女性天皇を支持する世論が8割を超える調査も出ています。リヒテンシュタインの制度変更は、高市早苗首相が重視してきた男系男子継承をめぐる議論にも、改めて注目を集めそうです。
- リヒテンシュタインが「男系男子」から絶対長子相続へ
- ヨーロッパでは「男女関係なく第一子」が主流に
- 「日本で言えば愛子さまが継承できる制度」に
- 日本では7月に皇室典範を改正 しかし女性天皇は認めず
- 女性天皇「賛成85%」 改正後にむしろ支持拡大
- 所功氏「男系男子だけでは持続困難」
- 「側室が存在した時代」と現在では条件が違う
- 女性天皇と女系天皇は別の問題
- CEDAWも皇室典範の見直しを勧告 日本政府は反発
- 山尾志桜里氏は今回の改正を「30点」と評価
- 法律は成立したが「再改正」は可能
- 女性天皇支持8割でも「国民全員が賛成」ではない
- SNS時代の「フィルターバブル」も皇位継承議論の課題に
- リヒテンシュタインの決断で「愛子天皇」論はさらに注目されるのか
- まとめ 「なぜ愛子さまではダメなのか」が再び最大の論点へ
リヒテンシュタインが「男系男子」から絶対長子相続へ
今回最も重要なのは、単に「女性も君主になれるようになった」というだけではありません。
リヒテンシュタインでは長年、侯位継承が男子に限定されていました。現存するヨーロッパの世襲君主国の中で、女性を継承順位から完全に排除する制度を残していた最後の国と位置づけられてきました。
ところが2026年8月15日、アロイス侯世子は継承制度を「male primogeniture」から「absolute primogeniture」へ変更すると表明。
今後は、**男女に関係なく第一子が後継者になる**ことになります。
リヒテンシュタイン、女性の侯爵継承に道 性別問わず長子にhttps://t.co/HnFkTs8o3k
— 日本経済新聞 政治・外交 Nikkei Politics (@nikkeiseijibu) August 15, 2026
ただし、ここには重要な注意点があります。
今回の変更によって現在の継承順位がただちに入れ替わるわけではありません。新制度が適用されるのは、アロイス侯世子とゾフィー侯世子妃の子どもたちから今後生まれる子孫です。
現在、アロイス侯世子夫妻の第一子はジョゼフ・ヴェンツェル公子であるため、当面の継承順位には影響しません。
それでも、何世紀にもわたって男子継承を維持してきた侯家が制度そのものを改めた意味は小さくありません。
ヨーロッパでは「男女関係なく第一子」が主流に
ヨーロッパの王室・君主家では、すでに男女を区別しない長子相続への転換が進んでいます。
スウェーデン、オランダ、ノルウェー、ベルギー、デンマーク、ルクセンブルク、イギリスなどでは、基本的に男女にかかわらず長子を優先する制度が採用されています。
一方、スペインとモナコでは女性にも継承資格がありますが、現在も同じ世代では男子を優先する仕組みです。
モナコは非常に分かりやすい例でしょう。
アルベール2世公の双子は、ガブリエラ公女が姉、ジャック公世子が弟です。しかし男子優先のため、弟のジャック公世子が姉より継承順位で上になっています。
それでも重要なのは、**女性そのものが継承資格から排除されているわけではない**という点です。
今回リヒテンシュタインまで絶対長子相続へ移行したことで、「女性を君主の継承対象から完全に外す」日本の制度は、国際的に見ても非常に珍しいものになりました。
「日本で言えば愛子さまが継承できる制度」に
絶対長子相続を日本に単純に当てはめればどうなるでしょうか。
現在の天皇陛下のお子さまは敬宮愛子内親王お一人です。
したがって「天皇の第一子が性別に関係なく皇位を継ぐ」という制度であれば、愛子さまが皇位継承者になります。
ところが現在の日本の皇室典範は、皇位継承資格を「皇統に属する男系の男子」に限定しています。
そのため、天皇陛下の直系の子である愛子さまには継承資格がなく、弟の秋篠宮さま、その長男の悠仁さまへと継承順位が移っています。
ここに、多くの国民が感じている大きな違和感があります。
「直系の愛子さまより、なぜ傍系の男子が優先されるのか」
という問題です。
日本では7月に皇室典範を改正 しかし女性天皇は認めず
しかも日本では2026年7月17日、皇族数確保を目的とする皇室典範改正が成立したばかりです。
改正の大きな柱は、
* 女性皇族が一般男性と結婚しても皇族の身分を保持できるようにする
* 旧宮家の男系男子を養子として皇族に迎えられるようにする
というものです。
しかし結婚後も皇室に残った女性皇族の夫や子どもは皇族にはなりません。
一方、旧宮家から養子となった男性皇族のもとに生まれた男子については、将来的に天皇になる可能性があることを高市首相自身が国会答弁で認めています。
この非対称性が大きな論点になっています。
愛子さまや佳子さまなど現在の女性皇族の子どもには皇族資格を認めない一方、戦後に皇籍を離れた旧宮家につながる男子を養子に迎え、その子孫には皇位継承の可能性を残すからです。
旧宮家と現在の天皇家との血統上の距離をめぐってネットでは「38親等」などの表現も使われていますが、国会審議では、共通する男系祖先まで**少なくとも36代さかのぼる**ケースがあるとの説明もなされています。したがって「38親等」と断定するより、「非常に遠い男系の血縁」と理解するのが正確でしょう。
女性天皇「賛成85%」 改正後にむしろ支持拡大
そして高市政権にとって無視できないのが世論です。
週刊女性PRIMEが紹介した読売新聞の世論調査では、7月24~26日の調査で、皇室典範を再改正して女性天皇を認めることについて、
**賛成85%、反対8%**
という結果が出ました。
同時期の共同通信の調査でも、
**賛成81.0%**
と8割を超えています。
つまり国会では男系男子を維持する方向の改正が成立した一方、国民世論では女性天皇容認が圧倒的多数となっているわけです。
そして「女性天皇」という一般論で名前が最も強く意識されるのは、現在の天皇皇后両陛下の長女・愛子さまでしょう。
そのため、この数字は事実上の「愛子天皇待望論」の強さを示しているとの見方につながっています。
所功氏「男系男子だけでは持続困難」
週刊女性PRIMEでは、京都産業大学名誉教授で皇室制度に詳しい所功氏も現在の制度について解説しています。
所氏は、日本国憲法が皇位について「世襲」と定める一方、戦後の皇室典範が継承資格を男系男子に限定していることを指摘。
一夫一婦制の現在、男子だけに継承を限定する制度を長期間維持することは難しいとの趣旨の見解を示しています。
現在、若い世代の男子皇族は悠仁さまだけです。
悠仁さまが将来結婚されたとしても、男子が誕生することを制度として保証することなど当然できません。
つまり安定的な皇位継承を考えるなら、
「悠仁さまに男子が誕生することを期待する」
だけでは制度設計とは言えない、という問題があります。
これは悠仁さま個人の問題ではありません。むしろ、一人の若い皇族とその将来の配偶者に皇統存続の重圧を集中させる制度自体の問題です。
「側室が存在した時代」と現在では条件が違う
日本では歴史的に男性天皇が大多数を占めてきました。
ただし過去の男系継承を可能にしてきた社会条件と、現在は大きく異なります。
かつては側室制度が存在しましたが、現代の皇室は当然一夫一婦制です。
AP通信も、日本の男系男子継承が過去に維持できた背景として側室制度の存在を指摘しています。
その制度が存在しない現在、男子だけを継承対象にすれば、世代が進むほど継承候補が減少するリスクがあります。
だからこそ女性天皇や女系天皇、直系長子優先を含めた議論を避け続けることが本当に「皇統を守る」ことになるのかが問われています。
女性天皇と女系天皇は別の問題
ここで整理しておきたいのが、「女性天皇」と「女系天皇」の違いです。
女性天皇とは、文字どおり女性の天皇です。
日本にも過去、推古天皇、持統天皇など8人10代の女性天皇が存在しました。最後の女性天皇は18世紀の後桜町天皇です。
一方、女系天皇とは「母方を通じて天皇家につながる天皇」を指します。
仮に愛子さまが即位しただけなら「女性天皇」です。
さらに愛子さまのお子さまが皇位を継承すれば、その段階で女系天皇という議論になります。
この2つは本来分けて議論する必要があります。
CEDAWも皇室典範の見直しを勧告 日本政府は反発
国際社会からも日本の制度には意見が出ています。
国連の女性差別撤廃委員会(CEDAW)は2024年、日本に対し、男系男子に限定する皇位継承制度を見直すよう勧告しました。
これに日本政府は「皇位継承は基本的人権とは別の問題」として反発しました。
さらに2025年、日本政府は国連人権高等弁務官事務所への任意拠出金についてCEDAWの活動には充てないよう求めました。
ただし外務省は、**日本の任意拠出金は少なくとも2005年以降、もともとCEDAW関連活動には使われていなかった**と説明しています。
そのため「CEDAWへの資金を新たに全面停止した」というより、政府の抗議姿勢を明確化した措置と見るほうが正確です。
そして、その後にリヒテンシュタインまで男子限定継承から離れたわけです。
日本の皇位継承制度をめぐる国際的な特殊性は、以前よりさらに際立つことになります。
山尾志桜里氏は今回の改正を「30点」と評価
元衆議院議員で弁護士の山尾志桜里氏も、今回の皇室典範改正に厳しい評価を示しています。
週刊女性PRIMEによると、山尾氏は改正を「100点満点で30点」と評価。
女性皇族が結婚後も皇室に残れる選択肢ができた点については評価する一方、根本問題である皇位継承資格者の減少を解決していないことなどを問題視しています。
文藝春秋PLUSでも、女性・女系天皇を事実上議論の外に置いたまま、旧宮家の男系男子を養子に迎える案を進めることの実現可能性などが論点として挙げられています。
特に大きいのが、
**「女性皇族の子どもは皇族ではないのに、旧宮家から来た養子の男子の子には皇位継承の可能性がある」**
という制度上の差です。
今回の改正が「皇族数確保」のためなのであれば、なぜ女性皇族の家族を皇族としないのか。
この疑問は今後も残り続けるでしょう。
法律は成立したが「再改正」は可能
では、2026年7月に皇室典範が改正された以上、女性天皇への道は完全に閉ざされたのでしょうか。
そうとは限りません。
法律は国会で再び改正できます。
今回の改正を白紙に戻すというより、女性天皇や女系天皇、直系長子優先などについて改めて制度を追加・変更する形で議論することは制度上可能です。
実際、女性天皇への支持が8割を超える世論調査が出たことで、今後の国政選挙で皇位継承問題を政策として明確に掲げる政党が出てくる可能性もあります。
2005年には小泉政権下の有識者会議が女性・女系天皇を認める方向を打ち出した経緯もあり、皇位継承そのものを正面から扱う議論が再び必要だとの声は今後強まりそうです。
女性天皇支持8割でも「国民全員が賛成」ではない
一方で注意したいのは、女性天皇支持が8割を超えたからといって、社会に意見の対立がないわけではないことです。
男系継承を歴史的伝統として重視する人も一定数存在します。
また「女性天皇には賛成だが女系天皇には慎重」「現在の悠仁さままでの継承順位は変更すべきではない」など、考え方にもさまざまな段階があります。
女性天皇・女系天皇・直系長子・旧宮家養子という4つの論点を一括りにすると、国民の意識を正確に把握できません。
だからこそ必要なのは、賛成か反対かを感情的に二分する議論ではなく、それぞれの制度を具体的に説明したうえで国民に判断材料を示すことです。
SNS時代の「フィルターバブル」も皇位継承議論の課題に
皇位継承問題は、SNS時代特有の情報環境とも無関係ではありません。
自分と同じ政治的立場の投稿や動画ばかりがおすすめされる「フィルターバブル」が形成されると、
「国民のほとんどが自分と同じ考えだ」
と感じやすくなります。
男系男子維持派にも、女性・女系天皇容認派にも起こり得る現象です。
特に皇室問題は制度が複雑で、「男系」「女系」「女性天皇」「女性宮家」「旧宮家養子」といった言葉の意味を正確に理解しなければ議論そのものがかみ合いません。
国民への丁寧な情報提供という意味では、政府や国会だけでなく宮内庁の広報のあり方も今後重要になってくるでしょう。
リヒテンシュタインの決断で「愛子天皇」論はさらに注目されるのか
今回のリヒテンシュタインの決定は、日本の制度を直接変えるものではありません。
それぞれの国には異なる歴史と憲法、君主制があります。
したがって、
「リヒテンシュタインが変えたのだから、日本も同じ制度にしなければならない」
という単純な話ではありません。
皇室養子案の36親等に対する韓国人のコメント秀逸すぎる
「36親等なら(天皇の)血吸って生まれた蚊のほうが近いやろ」 https://t.co/ZZ6NPlObku
— 安宿緑★안숙록 (@yasgreen615) August 4, 2026
しかし、ヨーロッパで最後まで女性を継承から完全に排除していたリヒテンシュタインが、2026年8月15日に絶対長子相続への移行を決断したことは事実です。
そして日本では、そのわずか1か月前に男系男子を維持したまま皇室典範が改正され、直後の世論調査では女性天皇への賛成が8割を超えました。
この対照は、今後の日本の皇位継承議論で繰り返し取り上げられる可能性が高いでしょう。
まとめ 「なぜ愛子さまではダメなのか」が再び最大の論点へ
リヒテンシュタインの歴史的な制度変更によって、世界の世襲君主制における男女平等化はさらに一歩進みました。
一方、日本では現在も皇位継承資格を男系男子だけに限定しています。
2026年7月の皇室典範改正では女性皇族の結婚後の身分保持と旧宮家男系男子の養子案が導入されましたが、女性天皇や女系天皇の問題そのものには踏み込みませんでした。
そして改正直後、女性天皇容認への賛成は読売新聞調査で85%、共同通信調査でも81%となっています。
次世代の若い男子皇族が悠仁さま一人という現実を前に、男系男子だけで安定的な皇位継承を続けることができるのか。
旧宮家の遠い男系男子を皇族に迎える一方で、天皇陛下の直系のお子さまである愛子さまを皇位継承から外し続けることを、国民はどう考えるのか。
そして、
**「なぜ愛子さまは天皇になれないのか」**
という極めてシンプルな疑問に、政治はどのような答えを出すのでしょうか。
リヒテンシュタインの歴史的大転換は、日本にとっても決して無関係なニュースではありません。
女性天皇、女系天皇、直系長子、そして悠仁さま以降の皇位継承。
2026年夏、日本の皇室制度は再び大きな岐路に立っています。
**メタディスクリプション:**
リヒテンシュタインが2026年8月15日、男系男子中心の侯位継承から男女を問わない絶対長子相続への変更を発表。女性天皇支持が8割を超える日本では愛子天皇待望論にも再注目が集まる。高市政権による皇室典範改正、悠仁さま、旧宮家養子、女性・女系天皇問題をわかりやすく解説する。

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