皇室典範改正は今国会成立へ?と思われた矢先に異変
安定的な皇位継承をめぐる与野党協議が再び足踏み状態となっている。
6月2日、衆参両院の議長・副議長による協議が行われたが、皇族数確保策を巡る取りまとめ案は提示されず、結論は再延期となった。
もともと5月中の取りまとめが想定されていたが、予定は大幅にずれ込み、現在は6月前半を目途に再調整が続いている。
背景には、「女性皇族が結婚後も皇室に残る案」と「旧宮家の男系男子を養子として皇室に迎える案」を巡る意見対立がある。
一見すると皇族数確保の議論に見えるが、その背後では将来の皇位継承制度そのものを左右する大きな問題が横たわっている。
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なぜ議論がまとまらないのか
現在の国会協議では主に2つの案が検討されている。
①女性皇族が結婚後も皇室に残る案
結婚後も皇族の身分を維持できるようにし、減少する皇族数を補う考え方だ。
比較的国民の理解を得やすい案とされ、多くの有識者からも現実的な選択肢として支持されている。
②旧宮家の男系男子を養子として迎える案
戦後に皇籍離脱した旧宮家の男系男子を現存宮家の養子として皇室に迎え入れる構想である。
自民党や日本維新の会が重視してきた案だが、実現には多くの課題が指摘されている。
今回の協議が難航している最大の理由も、この養子案への慎重論が根強いことにある。
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皇族数確保なのか、それとも皇位継承問題なのか
今回の議論で最も大きな違和感として指摘されているのが、「皇族数確保」と「皇位継承」の問題が切り離されている点だ。
2017年の上皇陛下の退位を認める特例法の付帯決議では、
* 安定的な皇位継承
* 皇族数の安定的確保
の両方を検討するよう求めていた。
しかし岸田政権下の有識者会議では、皇位継承資格の問題を先送りし、皇族数確保策だけが議論される形となった。
その結果、
「本来議論すべき女性天皇や女系天皇の問題が棚上げされたままになっている」
という批判が出ている。
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なぜ女性天皇・女系天皇論は議論されないのか
現在の皇室典範では皇位継承資格は男系男子に限定されている。
しかし歴史を振り返ると、女性天皇は過去に複数存在した。
特に元明天皇から元正天皇への継承は、母から娘へと皇位が引き継がれた事例として知られている。
それにもかかわらず、現在の政治議論では女性天皇そのものに否定的な意見が強く、女系天皇に至っては事実上議論の対象外となっている。
そのため、
「皇族数確保を名目にしながら、将来的な女性・女系天皇への道を閉ざそうとしているのではないか」
との指摘も出ている。
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旧宮家養子案に浮上する数々の疑問
養子案には複数の課題が存在する。
本当に対象者はいるのか
政府は対象となる旧宮家の男系男子について、実際に皇族復帰を希望する人がいるのか確認していないとされる。
一般国民として生活してきた人が突然皇族となることについて、
* 本人の意思
* 家族の理解
* 社会的受容
など多くの問題が残る。
受け入れる宮家はあるのか
養子を受け入れる側の宮家についても具体的な議論は進んでいない。
どの宮家が受け入れるのか、どのような形で皇族教育を行うのかも不透明なままだ。
憲法14条との関係
旧11宮家だけを対象とすることについては、憲法14条の平等原則との整合性を疑問視する声もある。
違憲ではないとの見解もある一方で、憲法学者の間では異論も存在している。
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世論は女性天皇容認が多数派
各種世論調査では、女性天皇を容認する意見が多数を占める傾向が続いている。
一方で旧宮家養子案については国民の理解が十分に進んでいるとは言い難い。
2005年の小泉政権下の有識者会議でも、
* 国民の理解
* 安定性
* 伝統との整合性
などの観点から養子案は極めて困難と評価されていた。
そのため、
「本当に国民の総意に基づく制度設計と言えるのか」
という疑問が改めて浮上している。
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高市首相が目指す皇室典範改正シナリオとは
高市首相はこれまで皇室典範改正や憲法改正など、長年先送りされてきた課題に決着を付けたい考えを示してきた。
自民党内では麻生太郎氏が皇室制度議論に強い影響力を持つとされ、今国会中の制度整備を目指す動きもあった。
しかし現実には、
* 養子案への慎重論
* 女性天皇論の未整理
* 国民的議論の不足
* 与野党間の温度差
など課題が山積している。
今回の取りまとめ延期は、その難しさを改めて浮き彫りにした形だ。
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今後どうなる?焦点は「立法府の総意」
今後も議長・副議長による協議が続く見通しだが、最大の焦点は「立法府の総意」を形成できるかどうかにある。
2017年の退位特例法のような幅広い合意形成には至っておらず、現時点では与野党の溝は小さくない。
また、皇室制度は国家の根幹に関わる問題であり、単純な多数決で決めるべきではないとの声も強い。
だからこそ、
* 皇族数確保
* 女性皇族の扱い
* 女性天皇・女系天皇
* 旧宮家養子案
を切り離さずに議論する必要があるとの意見が広がっている。
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まとめ
皇室典範改正を巡る議論は、単なる皇族数確保策を超えた局面に入っている。
高市政権が描いていたとみられる今国会での制度整備シナリオは、養子案への慎重論や国民的議論の不足によって暗雲が立ち込め始めた。
そして最大の論点は、女性天皇・女系天皇という本質的な課題を避けたまま制度改正を進めてよいのかという点だ。
今回の取りまとめ延期は、皇室の未来を左右する議論がまだ結論を出せる段階にはないことを示しているのかもしれない。

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